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ヒマラヤ白内障プロジェクト

文:タンジー・カシャック 

 



広大なヒマラヤ山脈は、世界でも最上級の眺めです。 ブータン、インド、ネパール、中国、パキスタン、チベットにまたがるヒマラヤは、遠方から、そして、宇宙からも見ることができ、それぞれの地域でその存在を尊ばれています。 地球で最も高い山々に住む人々は、その類稀なる高度に暮らすことで、世界でも最高率の失明件数を持ちます。ネパールでは、失明の70%以上は、白内障と高度な眼科治療の不足に起因していると言われています。

健康な 人々と比較して、失明した人々の寿命は3分の1に縮んでしまいます。 ヒマラヤ山脈の荒涼とした地形で盲目であることは、高確率で仕事をしたり、独立した人生を送ることが困難なことを意味します。 家族に失明者がいれば、介護する家族の仕事や学校生活にも支障が出てしまいます。 1990年代、険しいエベレスト頂上に到着した登山家の一人、ネパールの病院で働いていた若いアメリカ人医師であったジェフリー・タビンは、彼らに相応しい治療法を探していました。 現地の眼科医だったサンデュク・ルイット医師に出会った後、治癒可能な白内障の治療に専念してきました。 その1年後、1995年に、二人の医師達は高品質のアイケアを患者に提供するべく、『ヒマラヤ白内障プロジェクト』を共同設立し、他の医師達にも訓練をし始めました。 国内での協力のもと、ヒマラヤ白内障プロジェクトは現在までに100万人以上の人々に視力を取り戻してきました。


白内障とは?
世界の2億1700万人は低視力を患っており、3600万人は盲目です。白内障は治療可能であるケースが多く、失明に至ってしまった内のおよそ70%が正しい治療を受ければ防げるものだとされています。白内障は、眼の中のレンズの役割をする水晶体が濁ってしまう病気で、多くが加齢と共に生じます。貧困の多い国では、栄養不足、怪我、病気または紫外線への露出により、その進行速度を早めてしまいます。 白内障で曇ったレンズを、クリアで柔らかいプラスチックのインプラントと交換することによって治療可能ですが、住む地域で医者が不足していたりと、全ての人々に治療を与えることが困難でもあります。


どのような治療ができるのか?
白内障の外科手術が行われるようになったのは、紀元前5世紀に遡ります。 今日ではその施術は迅速かつ低額なコストで受けることができ、人々の人生と健康に大きく貢献しています。

サンデュク・ルイット博士の研究と実績により、現在は手術に要する時間はたった10分程で、わずか25ドルの材料費で済みます。ヒマラヤ白内障プロジェクトが始まってから、ネパールの盲目人口は1%から0.24%に減少し、現在は西洋の国々の盲目人口と大きく変わりません。ネパールとブータンは、盲目人口率が減少した世界で最初の2カ国です。  


 

 


白内障手術の奇跡

失明した人にとって光を取り戻すことは、奇跡的な体験であるはずです。白内障手術は、およそ80%のケースで、一晩、もしくは数時間以内に視力が回復します。

私の村では、白内障は、歳を取れば髪も目も同じく白化する、老化現象のひとつとして諦められていました。しかしジェフリー・タビン医師はこう言います。「人々は意気消沈してしまうと、死を待つようになります。初めて私のチームがレンズ移植をするのを見たとき、心から驚きました。白内障手術は、人々に視力だけでなく、生命力をも取り戻す奇跡なのです」


ヒマラヤ白内障プロジェクトの仕組み
HCP失明治療としても知られる、ヒマラヤ白内障プロジェクトは、医療が未発達な国での予防と治療可能な失明を根絶するため、活動を続けています。地元のプロバイダー達を訓練し、協力者達と共に影響を拡大することで、自身で出来るアイケアの普及にも取り組んでいます。ネパールとブータンに加えて、現在その活動は北朝鮮、インド、パキスタン、カンボジア、ミャンマー、中国、ケニア、タンザニアを含む20カ国以上にも広がりました。

視力回復によって好転する人々の生活、地域とコミュニティの経済活動の上昇など、その影響は多大であるにもかかわらず、他の世界的なヘルスケア懸念と比較すると、アイケアは優先順位が低くなる傾向にあります。資源の少ない国では、伝染病などが国家のヘルスケアの最重要項となります。それでも視力回復は、家族、コミュニティ、そして国家とってとても重大な転機と影響を及ぼします。ヒマラヤ白内障プロジェクトの開発ディレクター、サラ・ジャッド氏はこう言います。「だから私たちはそこへ行き、我々のやるべき事をするのです」


ヒマラヤ白内障プロジェクトの支援方法.

25ドルの支援によって、人々に視力と望みを還元できます。 https://www.cureblindness.org/donate